ただいま鉄道写真スキャン中

昭和40年代中半の国鉄時代から、21世紀初頭のJR時代までの鉄道写真をご紹介。当時のことやら思い付いたことなどをとりとめなく記しました。

別寒辺牛湿原

釧路~根室間は列車本数が少なく、根室本線の「本線」とは名ばかりの様な存在となっています。しかし長距離路線の場合、こういうことは珍しくありません。函館本線長万部~小樽間や室蘭本線の苫小牧~岩見沢間などは代表的な例でしょう。

釧路~根室を直通する列車は下り6本、上り8本となっており、その中に急行「ノサップ」の1往復が含まれます。厚岸駅で上下の列車を見送ったので、もうしばらくは列車は来ません。時間はたっぷりあるので、およそ5kmほど先にある撮影地へのんびりだらだらと向かいます。

 

今、ストリートビューを見ていたら、厚岸を出て間もなくの路上で、パトカーに捕まった車と運転手が写っています。世界中に恥晒しちゃいましたね。

 

国道44号線は市街地を出ると歩道がなくなりますが、さして交通量は多くないので、あまり危険は感じません。のんびりを心がけて歩いたのですが、1時間半もかからないで現地に到着してしまいました。道路沿いの小山に上がり撮影場所を決めます。湿原の周囲を回り込むように敷かれた線路を、遠くまで見通すことができます。現在、この場所には「厚岸水鳥観察館」という施設が建っているようです。タンチョウも生息しており、この観察館ではタンチョウの子育ての様子を映像で見ることができるそうです。

ちょうどお昼時でもあり、腹ごしらえをして時間を潰します。どんよりな曇り空ですが、もし快晴だったとしたら、逆光にやられていたかもしれません。風がなかったこともあって、寒さはあまり感じなかったように思います。そうこうするうちに、下り急行「ノサップ」の通過時刻になりました。

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遠くには、牡蠣で有名な厚岸湖が見えます。湖とは云うものの、実質は海とつながる湾です。高感度のフジクローム400Dなので、粒状性はかなりヤバイです。

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13:43 糸魚沢←厚岸 ノサップ

下りの「ノサップ」もキハ54+キハ53です。

 

ほどなく、今度は上りの普通列車がやってきます。場所を少し移動しました。

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14:14 糸魚沢→厚岸 532D

ここが定番の撮影場所でしょうか。線路と道路以外、人工物は何もありません。氷結した川は別寒辺牛川。いかにもアイヌ語が由来と分かる「別寒辺牛(べかんべうし)」という地名は「沼菱が生えている所」という意味だそうです。菱とは水面に浮遊する水草ですが、沼や池ならまだしも、川に繁茂するというのはちょっと解せませんね。沼菱ではなく、菱沼とくれば「動物のお医者さん」の菱沼聖子。佐々木倫子さん作品にありがちな、おっとりマイペースな、それでいて混乱を招く疫病神的女性キャラでしたね。

 

さて、無事に撮影を終えて帰宅します。ここは厚岸と糸魚沢の中間の、少し厚岸よりになります。厚岸に戻るのは芸がないので、糸魚沢へ行くことにします。車窓から湿原を見るのも悪くは無いし。道路は少し遠回りになるので、線路伝いに行きました。

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国道と線路とが最接近したところから線路に入りました。保線小屋があります。鉄ちゃんの中には、雨風を凌ぐのにお邪魔した方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

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この保線小屋は今は勿論ありませんが、ここへは国道から入ることができます。駅までもう少しですが、列車の時刻を10分思い違えていたことに気づき、慌てて小走りで向かいました。雪が深くなくてよかった。

 

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15:50 糸魚沢駅 534D

息を切らして駅に到着するとすぐに列車がやってきました。あぶね~。ストリートビューを見ると、この木造の駅舎が写っています。

車内では、車窓の湿原よりも、窓際の斜め向かいに座ってウトウトしている若き女性の寝顔に見とれておりました。

 

昭和62(1987)年1月3日