視界不良のため、いささか消化不良な気分で423Dを撮り終え、同じ場所で次の列車を待つことにします。汗をかいたままじっとしていると体が冷えてきますから、付近を徘徊し、発散する熱で汗を乾かします。その場所は開けた感じからすると、どうやら畑のようでした。その雪原を足跡だらけにするほど歩き回っていると、何やら遠くからエンジン音が聞こえてきました。おんや?まさかと思ってカメラを構えていると、果たしてラッセル車でした。
あらま。DD15ではなく、DE15が来ましたよ。でもまあ、何か得した気分になり、次の列車までだいぶ時間がありましたが、気長に待つことにします。で、その次の列車というのが急行「奥只見」なのでした。賢明な方ならご存知でしょうが、この列車、冬期間は運休なのです。その列車をひたすら待っていたのです。けれども通過予定時刻を過ぎても来ません。当たり前です。でも待ち続けました。するとエンジン音が。来た~~~。
あら、ハイモ。身なりはちっちゃいけれども、先ほどのDE15より豪快に雪を跳ね飛ばしています。やたら時間をかけて念入りに排雪を行っていました。
更に待ちました。この期に及んでも、まだ現実を分かっていません。そのおよそ50分後、今度は会津塩沢方面からエンジン音が聞こえて、またしてもハイモでした。先ほどのが戻って来たのでしょうか。もういい加減に業を煮やして、撤収することにします。とうとうこの日、「奥只見」の運休には気づかぬままでした。
さて、50分かけて登った丘を5分で降り、お隣の会津蒲生駅まで行くことにします。食料がなかったので、途中で調達しようと思ったのです。残念ながら会津塩沢駅付近には店がありませんでした。この辺りは移動販売車が走っていました。
会津蒲生駅へ向かう途中、期待通りにお店がありました。古い造りでおばちゃんが算盤で勘定する、いかにも昔風な感じです。パンと牛乳を買うのですが、日付を見て少々ビビりました。日付まで昔じゃなくていいのに、流石に1か月前の牛乳はきついっしょ。一番新しい日付でも1週間前でしたが、空腹には変えられないので牛乳とパン2個を買いました。今の時期、少しくらいの期限オーバーなら大丈夫だべ。
会津蒲生駅に到着し、早速腹ごなし。牛乳は大丈夫そう、1個目のパンも大丈夫。まあ、こんなもんかなと少し気を緩めて2個目のカレーパンに噛り付くと、グヒッ。こちらは明らかに味がおかしい。ダメだこりゃ、とばかりに吐き捨てました。
傷んだカレーパンを食いかけてしまった思い出の待合室。
13:39 只見→会津蒲生駅 432D
雪が盛大に降り出してきました。よもや途中でお腹が痛くなるなんてことはないよな、などと云う不安を抱えながら、次の撮影地へ向かいます。
昭和62(1987)年2月28日