冬に、只見川第一橋梁での撮影に失敗したので、今回はそのリベンジとばかりに会津宮下へ向かいました。折しも「E・Eきっぷ」なる割安切符が新発売となり、ミニ周遊券のように使えるのはありがたい。これを使わない手はありません。梅雨時で天気に期待できないのは百も承知。その分、車内は空いて移動は楽かも。
09:24 大白川駅 急行「奥只見」・423D
今回は上越新幹線で浦佐に出て、そこから急行「奥只見」に乗車して只見線入りしました。小出で乗り換える手間が省けてありがたい。
とはいえ、空いていると期待していた上越新幹線はうんざりするほど混雑し、浦佐まで立ちっ放しでした。
浦佐で降りた乗客の多くが「奥只見」へ乗り換えましたが、それでも半分ほどの席も埋まりません。列車が走る出すと、向かいに座ったおじいさんが、車窓を愛でながらおにぎりやお菓子を頬張っては独り言を呟き、時折お酒を呑む姿は、何だかとても楽しそうに見えました。手足が不自由ではあるけれど、こうしてあちこちのローカル線をのんびりと列車で旅をして余生を過ごしているのだとか。そして景色の良い路線があれば、ばあ様と一緒に来たいと語っておられました。
覚悟はしていましたが天気は雨。大白川駅で423Dと行き違いをして、この先、列車は六十里越トンネルを抜けて新潟県から福島県に入ります。
10:58 会津宮下駅
定刻、会津宮下駅に到着。しっかり雨です。ちょっと萎えそうな気持を奮い立たせて、駅を出ました。
冬には会津檜原側から行きましたが、今回は地図をじっくり見て、送電塔のある山の上から狙うことにしました。そこへは会津宮下側からアプローチするのが近いのです。俯瞰狙いです。
今は道の駅「尾瀬街道みしま宿」となっているすぐ先の「川井トンネル」は、今でこそ隣の「駒啼瀬(こまなかせ)トンネル」とシェルターでつながっていますが、この当時はシェルターはなく途切れていました。川井トンネルまで来たものの、送電塔への上り口が分かりません。けれども何となく吸い込まれるようにトンネルに入り、そしてトンネルの切れ目から出て、ふらりと山の斜面を上がったのでした。
すると、見えました。只見川第一橋梁が。絶対的な確信があったわけでもないのに、こういう幸運ってあるんですね。雨ニモ負ケズの思いが天に届いたのかもしれません。(と、一応、書いてみる。)
イメージとはちょっと違ったのですが、せっかく橋梁が見えることだし、まずはここで撮ることに決めました。しかし列車が来るまで、まだ1時間以上もあります。排気ガス臭いトンネルの中に避難するのもイヤなので、傘を差して雨の中、じっとその時を待ち続けました。
昭和62(1987)年6月20日