ただいま鉄道写真スキャン中

昭和40年代中半の国鉄時代から、21世紀初頭のJR時代までの鉄道写真をご紹介。当時のことやら思い付いたことなどをとりとめなく記しました。

雨の植苗

登別で雨に打たれての撮影の後は植苗に移動します。なんせ、道の無い山の中腹で撮影したので、カッパを羽織っていたとはいえ下半身はずぶ濡れで、いささか恥ずかしくもありますが、しかし急行「ちとせ5号」に乗り遅れてはこの後の予定が大幅に狂ってしまうので、8マンになった気分で突っ走ります。タバコは吸いませんけど。

走った甲斐あって、何とか列車には間に合い苫小牧からは普通列車に乗り換えて植苗で下車します。因みに父親が国鉄職員なので、切符は職割で購入しており、急行券は不要であります。

植苗も生憎の雨です。この雨に嫌気がさしたファンで、駅舎の中は一杯でありました。けれども残された時間はあと2か月かそこらですから、天気云々などという贅沢は言ってられません。駅舎を出て、いつもの場所へと歩を進めます。
駅南の踏切を渡ると見慣れぬ立て札が行く手をさえぎっていました。
「この道は通り抜けできません」とな。
今更そんなこと言われてもさ。道はいままでと同じように伸びてるわけだし。

ということで、無断で突き抜けたのでありました。すいません、地主様。
立て札の前でいささか逡巡して時間を食ってしまったため、D51重連列車5785列車に間に合わなかったさ。

イメージ 1
遠浅←沼ノ端 6371列車 D51
雨降りに遠景なんて、今ならあまりやらないと思うけれども、この時はどうにも風景的な絵を撮りたかったので何本かこんな調子で撮影してしまいました。

イメージ 2
沼ノ端←遠浅 9992列車 D51 710
煙もないし、流石に似たような撮影に飽きてきたので踏切で撮ることにします。列車を待つ間は傘を差していますが、撮影する時には傘を放り出します。

イメージ 3

イメージ 4
沼ノ端→遠浅 229列車 C57 135
この場所での撮影はホントに難しいです。望遠レンズでもあればまだ工夫の余地はあるのに・・・と無い物ネダリは逃げ口上かな?因みに感度はASA400に上げています。それでもシャッターは125分の1しか切れません。

この頃は自分でフィルム現像をしていたので増感で対応したのですが、もうザラザラです。フジのパンドールでしたっけ。通常はミクロファインで。トライXとかプラス何とかは使わないのでD-76なんてのは使ったことがありません。
写真部に入っていた妹から手ほどきを受けて現像を覚えたのですが、温度管理や攪拌なんかもいい加減で、悲しい仕上がりのフィルムが蒸機亡き後も引きずるのでありました。

更に数本の列車を撮影した後で、再び「通り抜けできない道」に無断侵入して駅へ戻りました。地主さん、またまたごめんなさい。
通い慣れたその道もこれが最後の通行となり、その後その道は消滅しました。

この日は、写真の出来上がり具合など知る由もなかったので、「よくぞ雨の中で撮影を頑張った!」という充足感で一杯でした。しかし、努力と結果が一致しないこともあるという現実の厳しさを後日、痛いほど知るのでありました。

昭和50(1975)年10月5日 植苗