ただいま鉄道写真スキャン中

昭和40年代中半の国鉄時代から、21世紀初頭のJR時代までの鉄道写真をご紹介。当時のことやら思い付いたことなどをとりとめなく記しました。

ベータカムのこと

鉄道が好きだから撮影する。ほとんどの鉄道ファンはそうでしょう。まあ中には撮ることが好きだから、その被写体がたまたま鉄道という人もいるでしょうけど。何かに書いてありましたが、鉄道好きが撮った鉄道写真と撮影好きが撮った鉄道写真とでは、おおむね撮影好きが撮った写真の方が優れているとか何とか。優れているとか上手いとか、そんなのは主観的な部分が多いので、観賞する人の好みによって評価はどうにでもなるアヤフヤなものですから、そんなのは話半分で聞き流していますが、でも確かにプロのカメラマンが撮影する鉄道の姿には味があります。写真じゃないですけど、NHKのカメラマンは凄いなあといつも感心させられます。目の付け所がNHKでしょ。

自分の写真に限界を感じてビデオに転向したのはもう27年も前のこと。でも最初のうちは未練たらしく写真との併用。645のカメラを買って間もないことでもありましたので。でもシャッター音がうるさいべ。で、写真は完全に止めました。最初のビデオはHi8。S-VHS-Cという選択肢もありましたが、テープが20分物(後に40分テープも出ました)しかないのがネックでした。で、120分も連続撮影できるHi8に。
自分が撮影した映像を初めて見た時は恥ずかしながら感動しました。おお、こんなに綺麗に撮れるんだと。でも目が慣れてくると、テレビ放送の画質には遠く及ばないことが分かり、よりいいカメラが欲しくなってきます。で、行きついたところがベータカムです。

ベータカムは放送局で標準的に使われていたビデオフォーマットで、VHSに負けたベータマックスではありませんが、ビデオカセットの形はほぼ同じです。ベータマックスの上位フォーマットEDベータの3時間テープをたった30分で使い切ってしまいます。つまり、βⅡの6倍速でテープを走らせて記録しています。データの大食いです。

高い・でかい・重いの三拍子がそろったビデオカメラは、おまけに故障しやすいという特性も持ち合わせておりました。毎年のように故障してくれて、そのたびに万札が何枚も飛んでゆくという、お金をなくして涙もなくしては語れません。また、民生機のようにテレビにつなげて見る、ということができません。見るなら、モノクロのファインダーで我慢するか、更に数百万円出してビデオデッキを買え、というのがSONY様のお告げなのでした。でももうそんなお金はありませんから、私は当時住んでいた近くの映像プロダクションに行って、S-VHSにコピーさせてもらっていました。

個人が手軽に扱える代物ではないということは最初から分かってはいましたが、その高画質を見ると、魅入られると、もう後には引き返せなくなります。私が使っていたのはPVWシリーズという業務用のもので、放送局が使用していたBVWシリーズなど手も足もぐうの音も出ませんでした。価格的には倍半分の差があって、カメラの性能も価格相応の差が厳然とありました。高級車とファミリーカー的な。

今でこそハイビジョンが当たり前になって、更には4K、東京オリンピック開催の頃には8Kと、放送の世界、ビデオの世界はどんどん超画質化し、もうSDであるベータカムの出番などありません。でも、今パソコンに取り込んだベータカムの映像を見ると、やはり綺麗です。解像度は低くてもキチンとした絵作りは、何百万円もかけただけの価値があります。今はそれだけのお金をかければ、60Pに対応したシネマ用4Kカメラが買えますが、過去の映像は撮り直しすることなどできません。

当時はHi8やS-VHSの業務用ビデオカメラもあって、やはり100万円以上はしましたが、所詮は民生用フォーマットです。業務用カメラが捕らえたキレイな映像も、チープな民生用フォーマットに詰め込まれてはあまりに悲しいではありませんか。それらを見限ってベータカムに手を出したのは、大変ではありましたが正解だったと言えるでしょう。言っておきましょう。言わせて下さい。言っていいよね。

ついでに言うと、良い機材を使うと撮り方も上手くなるような気がします。弘法さんは本当は筆を選ぶのだと思います。適当に、いい加減に、ずぼらにではなく、気合いを入れて撮るからだと思います。頭と体を使うと成長しますよね。

さああと600本、頑張って取り込む象さん。

さて、何の脈絡もなく今日の1枚。
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京福電気鉄道(現 えちぜん鉄道) 福井駅 昭和57(1982)年6月26日
出張先で撮影したもの。何も分からないまま、本能で撮影しました。湘南顔が素敵だわん。黄変しているカラーネガフィルムはサクラカラーが圧倒的に多いです。当時フジ、コダックよりも安売り品が多かったので、つい乱用していました。「みどり、負けそう」というコニカカラーのCMがありましたが、「さくら、負けました」が正しいですね。