その年の6月23日に東北新幹線が暫定開業するとなると、上野駅を発着する特急列車にも影響が出るんだろうな~(暫定開業時、始発は上野ではなく大宮でした)などと漠然と考え、その1か月前に上野駅を訪れました。写真撮影よりも駅アナウンスをしっかり録音しようと決め、静岡から大垣夜行に乗車して東京を目指しました。モハ152-130の車内で腰を下ろし、やれやれとカバンの中を見てみると、ありゃ?肝心の録音機がない。ポケットに入ってないか?頭にかぶってないか?お尻に敷いていないか?食っちまったか?
いきなり忘れ物。今更降りて引き返す訳にもいかず、方針転換で通常の撮影に専念することにしました。
東京駅で見かけた101系800番代。パンタグラフ設置部の低屋根が確認できます。極めて少数派なので得した気分です。
なんか気合が入らないので趣向を変えて駅の外に出ました。
駅北側の陸橋からは地平ホームと高架ホームが一望できます。
活気があって感動的ですらあります。
その割にはあまり撮影もせずに、この後、移動してしまいました。ついでなんだから山手線や京浜東北線のホームも撮っておけよと今にして思うのですが、当時はあまりにも空気みたいな存在だったので、気にも留めなかったようです。空気のありがたさを忘れてしまうのはよろしくありませんね。
昭和57(1982)年5月22日
昨日は、ヤフオクで落札した写真集「鉄道の情景 1953~2002(西野保行著)」が届きました。大判の結構立派な造りですが、落札価格相当に外観はちょっとくたびれ気味。でも、中は十分に綺麗でお買い得な写真集でした。昭和20年代の終わり頃から鉄道を撮影されている、正業は鉄道建設のプロの方で、表題の通りではありますが、2002年までの比較的最近の写真も掲載されています。まさか札沼線のキハ141系や札幌市電の鉄北線まで載っているとは予想すらしませんでした。そして何よりも全てモノクロで撮影されているというのが、いささか衝撃的ではありました。JRになってからの見慣れた車両や沿線風景も、階調豊かに仕上がったモノクロで見ると、時代感覚が狂わされたかのような不思議な感覚に襲われます。そして何より、標準レンズを多用されているのに好感が持てました。鉄道写真を撮り始めた頃のポリシーをかたくなに守って撮影し続けて来たそうです。そういう信念を持った人の写真というのは説得力があるように思いますが、ちゃらんぽらんな私には、到底そんな撮影は無理です。スジを通すというのは、損をすることが多分にありますが、実にカッコいいですよねえ。