その頃、札幌からは4本の夜行急行列車が発っていました。
稚内行き急行「利尻」、釧路行き急行「狩勝4号」、函館行き急行「すずらん4号」、そして網走行き急行「大雪5号」。「狩勝」が4号と偶数番号になっていますが、下り列車です。その頃はまだ「奇数:下り列車」「偶数:上り列車」という区別にはなっておらず、上下それぞれの列車に1号から付番されていました。大ヒットした「あずさ2号」もその時代に誕生した歌なので、新宿発の下り列車なのに偶数番号です。
ちょっとわけがあって、「大雪5号」を撮影しに行きました。
まだ2月。旭川までの牽引機であるED76 509が、精一杯、暖房用の蒸気を客車に送り込んでいます。D級機関車のくせに、F級並の長い車体を持つのは、蒸気発生装置を搭載しているから。
スロ54 503。いわゆる43系客車に属します。当時のグリーン客車は、他にスロ62があって、函館方面の急行「ニセコ」と急行「すずらん」に使用されており、他はスロ54が充当されていました。スロ54形式500番代はスロ54形式0番代を北海道向けに改造した車両で、 503号は元25号。台車はTR40Bを履いていましたが、冷房化に際し自重が重くなったのに合わせて、軽量なTR23に交換してス級を保持しました。60系のスロ62よりも腰掛の間隔が若干狭いです。
出入り扉上の「グリーン車」表示灯が特別感を醸し出しています。特急列車以外で冷房装置を搭載していたのはグリーン車と寝台車のみでした。
乗務員がホームで打ち合わせ。その陰では駅弁を販売中。43系に混じって35系のオハ36 503が編成に組まれています。
オハ36 503←オハ36 111←スハ42 111。
夜行列車が停車中のホームには独特の緊張感があり、何だかドラマを感じてしまいます。
昭和51(1976)年2月18日 札幌駅