ただいま鉄道写真スキャン中

昭和40年代中半の国鉄時代から、21世紀初頭のJR時代までの鉄道写真をご紹介。当時のことやら思い付いたことなどをとりとめなく記しました。

9691

田中 泰三様の画像につき、転載はご遠慮ください。

昭和31(1956)年7月20日 飛騨国府駅

70年近くも前の長閑な駅の一コマ。なんて呑気に見ていたら、9691が牽引する貨物列車の後部ではタンク車らしき貨車が傾いているではないですか。残念ながら他に写真はなく、またそれらしい記事がネットや書籍でも見つからないので詳細は不明ですが、脱線していることだけは間違いないでしょう。駅での脱線といえば大抵は転轍機の操作ミスや不転換、または運転士の信号見落としによるものですが、機関車とその後方数輌の貨車が無事であることを考えると原因はよく分かりません。左に見えるホーム端にある車輛だか何だかよく分からない物も気になる存在です。

9691は、この事故とは無関係でしょうが翌年に廃車されます。なので記録されている写真はあまりないかと思います。そういった意味では貴重なものかと。

ところでこの画像の4か月後、東海道本線は全線電化されます。つまり画像の頃にはまだ東海道本線ではC62などの蒸機が走っていたんですね。

車歴は↓こちら。

http://d51498.com/db/9600/9691

 

※ 江別の鐵様より「事故現場の写真、たくさんあるよ」との指摘があり、預かっている画像のフォルダを探して見たら、確かにごっそりありました。

事故の復旧を見守る人たち。ちょっとしたイベントです。

 

タンクと台枠が吹っ飛っとび、木材を積んでいたチキ1500形式チキ2392の上に乗り上げているように見えます。1枚目の画像で傾いたように見えるのがこれでしょうか。

 

ソ32はソ30形式、事故救援用操重車です。動力は蒸気機関なので炭水車と共に稼働しますが、後にディーゼル機関に換装されます。「稲澤機関区常備」と記されています。手前のチキ1000形式チキ1077は損壊した貨車を載せるための貨車のようです。まだ木材を使用した貨車が多い時代にあって全鋼製車体です。

 

台車から外れたトキ15000形式のトキ16547が吊り上げられ、チキの上に載せられます。

誰一人としてヘルメットを着用していないのが時代を感じさせます。

 

線路を走れる程度の損壊で済んだ有蓋車は貨物ホームに転線されたようです。何かに突っ込まれたように見えます。

 

トキはめちゃめちゃ。

 

トキを次々とすくい上げてはチキの上に載せてゆきます。

 

濃硫酸を積んだタキ300形式のタキ1338。ちょっと怖いんですけど。

 

チキ1500では積み荷の木材が放り出されたのは分かるにしても、土砂のようなものが載っているのはどういうことでしょう。

 

積み荷の木材の代わりにチキに載ってしまったタキ1338を吊り上げます。

載っかられていたのはチキ1500形式のトップナンバーでした。

台車は有事の際、急行列車と併結運転できるようにTR24を採用しています。それ以外はチキ1000形式と同じです。

折り重なった無蓋車の上に乗って、作業の様子を見守っている彼らの正体をご存知の方、是非コメントをお願いします。法被を着用しているので消防団かと思いましたが、

よく分かりません。

 

クレーン車は必ずアウトリガーを出して足場をがっちり固めます。操重車の後方を見ています。炭水車らしき姿は見えませんが、クレーンを載せるチキ、機材・資材を載せた有蓋車、そして救援車(これも二重屋根の古い木造貨車を改造したもののようです)などが確認でき、最後尾では機関車が煙を上げています。

 

いよいよタキ1338が吊り上げられました。濃硫酸が漏れなきゃいいのですが(空車かもしれませんが)。左端には二重屋根の古い木造客車が見えますね。回送車なのでしょうけどとんだ災難でした。

 

タキ1338はチキには載せず、線路外にほかしてしまいました。いいの、こんなんで。

と、画像はここまで。事故の原因は分かりませんが、かなり大きな事故だったのは間違いないようです。