当時は臨時列車の運用など知るすべもなかったので、それ故に偶然にそんな列車を撮影できた時の至福の喜びというものがありました。何でもかんでも分かった上での行動は無駄がなく確実でありますが、無駄と非効率を楽しめるのが趣味の世界というものです。
その日は何を目的に苗穂くんだりまで出かけたのか。もしかすると、C56が苗穂工場にやってきているんじゃあるめいかと、その偵察だったのかもしれませんが、もう覚えていません。でも動機はどうであれ、犬も歩けば何とやらで、跨線橋の上から美味しい車両を見かけました。
キロ29形式2号(←キハ27形式123号)
滅多に見かけない和式気動車キロ29形式です。グリーンの帯とグリーンマークがなければ一見キハ27形式ですが、運転助士席後方の出入台が埋め込まれているのが最大の外観的特徴です。
こちらはキロ29形式3号(←キハ27形式124号)
グリーン帯が廃止されているので、うっかりするとキハ27と勘違いしそうです。車内をじっくり観察したことがなく、興味津々ですが、なかなか見る機会に遭遇しません。
お座敷列車、乗ってみてぇ~~とヨダレを垂らしているうちに、DMH17系機関独特の白煙を盛大に上げて札幌へ向けて発車してゆきました。
DE10 1596
この頃は苗穂駅構内では貨車の入換をやっておりまして、いつの間にか機関車はDD13からDE10に変わっておりました。因みに、工場の方はまだDD13を使用していました。
思わぬ収穫にご満悦で足取りも軽く、札幌駅まで歩いて帰ったような。
参考までに、その頃の札幌駅です。ESTAの2階歩廊からの撮影です。今の駅ビルから見るとこじんまりした印象を受けますが、駅舎の中やホームは今よりも、鉄道を利用する人たちの活気であふれていたような気がします。駅員が改札口で改札鋏をガチャガチャやっていたのも懐かしいなあ。
そう、便所はとっても臭かったんだけどね。
苗穂での撮影:昭和55(1980)年10月4日