それまでは、友人は自転車や列車で移動しての撮影だったのですが、この時に初めてレンタカーを借りて、慣れない左ハンドル・右側通行にすったもんだしながらも、大いに撮影を楽しんでおりました。やはり車を使うと、それまで行けなかった場所に行けたり、新しい撮影場所を開拓するチャンスが広がったりします。加えて、台湾の5月は十分にクソ暑く、列車待ちの避難場所として、クーラーの利いた車内はとてもありがたかったのです。
さて、行動範囲が一気に広がり、友人はそれまで行けなかった駅に車を走らせました。しかしその駅の周辺には人家がなく、駅そのものが不気味な雰囲気。そう、すでに廃止になってから何年も経っており、結構、荒れた様子でした。
それがこの駅
日本の駅とは趣が異なり、「ゴツイ」という印象です。
香蘭駅です。「シャンラン」と読むそうです。玄関前は草ボーボー。
香蘭駅です。「シャンラン」と読むそうです。玄関前は草ボーボー。
玄関のシャッターが半開きになっていたので、中に入ってみました。
玄関を入って左手には窓口があったようです。ウィキによると、1989年に無人駅で開業し、1992年に有人化、そして1997年に廃止されたそうです。廃止から14年目の状態になります。周辺に家がないのでは、利用する人はいませんよね。その頃、日本にも台湾にも秘境駅ブームはまだなかったようです。
玄関正面。
玄関を入って右手になります。窓は何かで塞がれています。
外から見ると2階建てのようですが、実際には高い天井と窓があるだけです。台湾はこういう駅舎ばかりです。「2階の窓から撮ろう」という希望は到底叶いません。
改札を突っ切り、線路を横断して、島式ホームから駅舎を振り返ります。駅舎とホームの行き来は地下道が使われていました。右に見える欄干が地下道に通じる階段のあるところです。
しかし、地下道は鉄の扉で固く閉ざされており、どうにも行き来できません。
島式ホームの地下道の出入口ですが、塞がれて行き来できないので、線路を横断するしかありません。つか、不法侵入でしょう。はい、ごめんなさい。掲示板もだいぶ壊れています。現役時には、左側にも線路があったそうです。
柱にも屋根にも駅名が主張しています。この分厚く見える天井も、台湾駅の特徴。
そこを列車が通過。足回りスッキリ。でも、気分は暑くてゲンナリ。
ホームから駅舎を見ます。何かもう、樹木にどんどん浸食されているようです。
金崙(ジンルン)方から太麻里(タイマリ)方に移動しました。数少ない青カマがやってきました。ちょっと得した気分。
この旅行中、何度かここで撮影しましたが、翌年でしたか、友人が再訪した時には駅周辺にフェンスが設置されて、立ち入れなくなっていたそうです。ここ以外にもあちこちに廃駅があって、一部、観光地化しているところもあるそうですが、人出が多いことで当局は駅跡への侵入を禁止したり、車の迷惑駐車で駅周辺の地元の人が、立入制限をかけたりしているそうです。
民国100(2011)年5月21日 南廻り線 香蘭駅跡