ただいま鉄道写真スキャン中

昭和40年代中半の国鉄時代から、21世紀初頭のJR時代までの鉄道写真をご紹介。当時のことやら思い付いたことなどをとりとめなく記しました。

顔面狙い

まず最初に、再掲写真ならごめんなさい。

さて、運転台のある車両の顔はその車両の特徴を良く現わしており、某プロカメラマンなどは「顔は車両の命」とまで断言しているほどですが、その車両の特性・特質までも現しているわけではありません。車両の使命は、人や物を安全に輸送することですから、顔の造りはあまり関係ありません。新幹線車両のような極限を追求した超高速車両ならば、おのずとそれに対応する形状が求められますが、100km/h程度の走行ならば、新幹線顔の気動車であろうと、食パン顔の電車であろうと、性能には何ら影響を及ぼすものではありません。戦前、C53やC55といった蒸気機関車が、当時の流行に乗って流線形にされましたが、流体力学的効果はほぼゼロで、むしろ点検に余計な手間がかかって仕方がないと、現場からはとても嫌われていました。(でもファンは大好き💛)

さて、そうは言っても、車両の顔が魅力的なものであることに変わりはなく、撮り鉄にしても顔狙いは王道のひとつといってもいいでしょう。私の場合、写真ではほとんど撮っていませんが、後年、ビデオ撮影するようになってからはアウトカーブでの望遠狙いはよくやるようになりました。何てたって撮影が楽チン(笑)。それでいてファン好みの映像が撮れるとなれば、ハマりますよね。しかもビデオの場合にはズームアウトして編成を見せることもできるので、誠に都合のいい撮り方です。

写真では滅多に撮らなかった顔狙いでしたが、やむを得ず、真鶴で試してみました。夕方になって露出が取れなくなり、動態ブレをなるべく目立たなくする唯一の方法だったからです。今時のカメラならばISO感度を上げてどうにでも対処できるでしょうけど、フィルムではひとコマごとに感度を変えて撮るなんて不可能でしたから。

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電気車の場合にはパンタグラフの存在が構図に大きな影響を与えるので、どうしても縦構図になりがちです。煙を出す蒸機を狙う場合と同じですね。慣れないのでなかなか水平が取れません。フォトショップで水平補正しています。

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こういう構図では、正確なフォーカスが作品のキモになります。甘いですね。今時のカメラならオートフォーカスでピントバッチリ。それとも前照灯の高輝度に影響されてハンチングしちゃう?

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今時の運転士の中には、顔を写されるのを嫌ってか、大きなマスクを装着している人もよく見かけます。今何となく思ったのですが、クハ111の塗り分けは、何となく坊ちゃん刈りに見えます。

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2両編成なのに単行にしか見えません。顔狙いの弊害で、列車の記録にはなりません。屋根越しに、後ろの車両のパンタグラフがチラッとだけ写っています。

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一番速度の速い特急列車が無灯火とは一体どういうわけだい。大丈夫か運転士。でもこの暗さで4灯が高目だったら、眩し過ぎてちょいヤバイ。

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結果的に、動態ブレは感じられないので、狙いはあたったと言えるでしょう。でも個人的に感じるのは顔狙いは記録としての価値は低く(図面でほぼ事足りるし)、誰が撮っても同じだし、編成が分からないし、ワンパターンで飽きるし。記録性でいうと車両は形式写真が王道であり、列車では編成写真が基本でしょうね。いうなれば車両の顔写真は、20世紀後半に流行したスターのプロマイドってことでしょうか。

昭和58(1983)年8月23日 真鶴~湯河原